シニアからでも楽器が上達する方法【シニアからの楽器⑦】

こんにちは、シニアブロガーのフレです。前回の続きです。ギターとかピアノとかなにか楽器が弾けたらいいな~、趣味でなにか楽器を始めてみたい!と思っているけど躊躇している・勇気が出ない・きっかけがないという、シニア(中高年・定年前後)の方へ向けて、「シニアからの楽器、初めの一歩の踏み出し方【第7回】」です。

前回は「シニアの楽器教室&先生の選び方」についてお話ししました。楽器を習いたい本来の目的を明確にすることが大事ですね。

今回は、「シニアからでも楽器が上達する方法」についてお話しします。

今回得られる3つのポイント

①先生がなかなか教えてくれないことを知る
②シニアからでも楽器が上達する原則がわかる
③楽器を挫折しない考え方を習得する

先生が教えてくれない大切なこと

ほとんどの教室や先生は初めてのレッスンで興味を持ってもらうため、実際に楽器に触ったり構えたり弾いたり(吹いたり叩いたり)するのが一般的です。まずは楽しいと思ってもらうことが第一だからです。

そしてレッスンを追うごとに基礎から順を追ってスキル・テクニック・理論などを教えてくれます。これはこれで間違いのないやり方です。ただ、もっと原則的なことを系統立てて教えてくれる教室や先生はほとんどいません。

だれでも楽器を習い始めた当初は興味津々で上達も目に見えて楽しいのですが、しばらくすると飽きたり練習しなくなったり挫折したりするようになります。

特にシニアの場合は控え目な人も多く、自分の状況や心情を正直に伝えられなかったり、先生の感情に配慮しすぎて言えなかったりするケースが多いです。

そうした場合あるいは、そうなることが目に見えている場合でも、その対処法であるもっと原則的なことをきちんと教えてくれる教室や先生はあまりいません。

結果として挫折してしまえば「練習してこないあなた(生徒)が悪い」となってしまいます。でも本当はそんなときに教えてほしい(私が教えてほしかった)楽器上達練習の本質があります。

あまり教えてくれない5つのこと

本当は教えてほしいのにあまり教えてくれない5つの本質とは次のようなことです。

あまり教えてくれない5つの本質

①確実に上達するための原理原則
②毎日コツコツ練習する実践方法
③やる気が出ない時の対処法
④挫折せず継続できる方法
⑤いやになった時のマインドリセット

例えば私の場合でしたら、ギターの先生からいろいろなテクニックや弾き方を教えてもらうのはとても楽しいです。ただ、いざ一人で練習しようとするとまったくやる気にならないことも度々です。「まあ、今日は練習いいかな~、やめとこ~」みたいな感じです。

これは、私がシニアだからとは無関係に本来持っている「楽がしたい」というなまけ癖です。あるいは、日常生活でイヤなことや問題が発生して練習どころではなくなることもあります。

そして練習をさぼると教室にも行きづらくなってレッスン自体をさぼってしまいます。こうしたことが続いて結局やめていく人もたくさんいます。こんな時、上記5つの本質をタイミングよく教えてもらえたら、とよく思っていました。私も教えてもらえなかったので自分で考えました。

楽器テクニック以外の本質を教えられない理由

なぜ多くの教室や先生はこうした楽器テクニック以外の本質を教えてくれないのでしょうか?それには次のような理由があるからだと思います。

楽器テクニック以外の本質を先生が教えられない理由

①抽象的で教えにくく、具体的に指導しにくいから
②面白くない、楽しくないと生徒が感じると思っているから
③演奏ノウハウを教える方が楽だから
④本質より楽器演奏テクニックの方が生徒のためになると信じているから
⑤生徒が「練習しない」「宿題しない」のを生徒の自己責任にしているから

先生自体が本質を理解していないことも多いと思います。1つずつ見てみましょう。

①抽象的で教えにくく、具体的に指導しにくいから
楽器自体の教え方はどの教室やどの先生にもある一定の決まったマニュアルがあります。教える手順や流れがだいたい決まっています。ただ、例えば心理学など本質論は先生自体が理解していないか、教え方の体系的なマニュアルがなく、自分の経験を話すことしかできないからです。

例えば、ギターの押さえ方や指使いの方法は具体的に指導できますが、やる気が出ない時にどうすればいいかはこれと言って決まった方法がなく、経験的または抽象的にしか教えられないからです。

②面白くない、楽しくないと生徒が感じると思っているから
楽器の弾き方・テクニック以外のことを生徒が望んでいないと思っている先生もいます。上達させることだけが自分の使命だと信じているからです。そしてそれこそが、生徒が一番喜ぶはずだと。

でも生徒からしたら、練習する気が出ずにそのままレッスンに行って、さらにガンガン教えてこられたらさらにイヤになってしまいます。そんな時こそ、やる気が出ない時の対処法を教えてもらいたいときなのです。

③演奏ノウハウを教える方が楽だから
誰だって自分の専門分野を他人に教えるのが一番楽だし楽しいです。楽器に限らずあらゆる専門分野で「自分が生徒より優位に立てる」状況になるからです。

あまりよくわからず経験的にしか話せない事より、しっかり身に着けている専門的なことを教える方が先生は断然楽だからです。そして、より専門的なことを教える方が「さすがプロ」とリスペクトしてもらえて、先生の自己肯定感がアップするからです。この時逆に、生徒の自己肯定感が下がることもあります。

④本質より楽器演奏テクニックの方が生徒のためになると信じているから
ほとんどの先生は生徒のためを思って一生懸命教えてくれます。そんなに必死になって教えてくれたら、教えてもらっている生徒の方が恐縮してしまうくらいです。

もっと気楽にレッスン受けたいのになんだかちょっと重いなあ~、と思うこともあります。ただ楽しみたいだけなのに、と思っていても、先生は自分の持っているものをすべて生徒に伝えようとしてくれています。それはよくわかっているのですが、もっと楽器以外のこともたまには話してほしいなと思うこともあります。

例えば、楽器レッスンより、先生の過去の恥ずかしい失敗体験を聞いて、ほっとする時間を持てたほうがやる気が出る時だってあります。

⑤生徒が「練習しない」「宿題しない」のを生徒の自己責任にしているから
教室をやめる・離れていく生徒をすべて生徒の問題と考えている先生も多いです。自分のせいではなく、生徒の努力不足・練習不足に転嫁しているのです。確かにその部分もあるでしょう。完璧に生徒側に責任があることもよくあります。

ただ、楽しくないようにしてしまった一因は先生側にもあるはずです。本当は楽しくないことを素早く察して、どうしたら「楽器が上達するか?」よりどうしたら「楽器を楽しめるか?」という方向に誘導してあげるのが本来の先生の姿かもしれません。

また繊細気質のシニアは、先生の責任であっても自分の責任と考えてしまう人が多いので、教える先生サイドは配慮が必要です。

シニアからでも楽器が上達する原則

先生が教えてくれない本質的なことがわかったら、実際にシニアが楽器を上達できる具体的な原則についてみてみましょう。シニアにはこの原則が向いている人が多いのではないかと思います。

  • 原則①短期間で上手くなろうと思わない
  • 原則②小さな習慣のみ実践する

それぞれ見てみましょう。

原則①短期間で上手くなろうと思わない

シニアが短期間で急に上手くなることはありません。子供や10代の若いころなら呑み込みも早く、体力・気力もあってグングンみるみる上達します。ただ、シニアは個人差があるもののそれなりに時間がかかります。

例えば、まったくの初心者が2~3か月でそこそこ上手くなるだろうとか、1年くらいやれば人前でばっちりできるようになるだろうとか思って取り組むと、思い通りに進まず挫折してしまいます。

つまり、最初から時間がかかることを前提として焦らずゆったり楽しみながら進むことです。短期間で上手くなろうとする意欲を持つこと自体は大切ですが、現実はそんな急に上達はしないことを知っておくだけで挫折が減らせます。

原則②小さな習慣のみ実践

一方、シニアが確実に楽器を上達させる方法があります。それは「小さな習慣」の積み重ねです。いわゆる「コツコツやる」です。実はこの方法、誰でもできるのに実践する人は少ないです。

実践すれば誰だって楽器が上達するのがわかっていても皆やらないのです。例えば、以下のパターンAとB、どちらが確実に上達するでしょうか??

  • パターンA:週に一日だけ60分間みっちり練習(後の6日間は練習しない)
  • パターンB:毎日5分だけでも少しずつ練習(休むのは週に1日だけ)

Aパターンの総練習時間は60分、Bパターンの総練習時間は半分の30分です。

多くの人はレッスン前日にAのパターンで練習します。残念ながら、いくら1時間みっちり集中練習しても週に1日だけなら、楽器はあまり上達しません。なぜなら、人間は忘れる動物なので、1週間前にやったことの半分は忘れているからです。

一方、たった5分だけでも毎日少しずつ練習するBパターンの方が圧倒的に上達スピードは変わります。気のやった練習内容はあまり忘れていないからです。実際には「5分だけならできる!」「5分練習したらやめてもOK!」と思ってとりあえず楽器に触ってみることから始めてみます。

すると、「作業興奮」という効果によって5分以上練習してしまうことがほとんどです。「プチプチ効果」とも言うらしいです。プチプチは割れ物などを包む緩衝材です。プチプチを一つでもつぶし始めたら全部つぶしてしまった、というのと同じ効果です。

ポイントは、イヤになったらいつでもやめてOK!と自分に許可を出してからスタートすることです。私も毎日「さあ5分練習したら終わるぞ」と本気で思ってスタートします。「3分だけ」と思ってやることもあります。結局30分以上練習してしまうことも度々です。

逆に「よ~し今から1時間みっちりやるぞ~」と意気込んでしまうと、しんどくて体が動かなくなります。特にリタイアしたシニアは時間が有り余っているので、いつでも練習できる環境にいるため、なおさら「まあ、後でいいか」「いつでもいいか」となってしまいます。

とはいえ、人生の残り時間が少ないシニアほど焦らず取り組む気持ちが必要です。例えば、弾いてみたい曲を1年かけて完成させる、3年後にずっとやりたかった曲に挑戦できるくらいに上手くなる、というようなイメージです。これを1か月で完成させてやろう!とすると挫折します。

凡人シニアはコツコツと小さな習慣を積み重ねる以外に楽器を上達させる方法はありません。逆に、小さな習慣を積み重ねるだけで楽器は絶対に(ソコソコ)上達します。経験者の私フレさん断言!

一旦この効果を実感すると、毎日コツコツすること自体が快感になる完璧気質の人もいますので、そうした人には非常に相性の良い原則ではないかと思っています。

まとめ

今回は、「シニアからでも楽器が上達する方法」についてお話ししました。先生は教えてくれない大切なことや、シニアからでも楽器が上達する原則を知っておくだけで、練習する意識が変わり、意欲がわいてくると思います。

次回は「シニアのための楽器練習小さな習慣5つのポイント」についてお話しします。