こんにちは、シニアブロガーのフレです。前回の続きです。ギターとかピアノとかなにか楽器が弾けたらいいな~、趣味でなにか楽器を始めてみたい!と思っているけど躊躇している・勇気が出ない・きっかけがないという、シニア(中高年・定年前後)の方へ向けて、「シニアからの楽器、初めの一歩の踏み出し方【第11回】」です。
前回は「シニアからの楽器に必要な才能と挫折対策」についてでした。シニアにとっては音楽の才能より必要なのは○○の才能でした。
今回は、「シニアが人前で楽器演奏する時のマインドセット」についてお話しします。
人前で発表したくない人の3大言い訳
楽器教室に通い始めると、人前で演奏を発表する機会が訪れます。定期発表会やライブ演奏会などです。ほとんどの教室ではこうした生徒さんが集まって普段の成果をお披露目する場が設けられています。
ところが、シニアの人や中でも習い始めて1~2年目くらいの初心者は、そのほとんどが尻込みしてしまう傾向にあります。私もそうでした(汗)。そして、なんとか勇気を振り絞って人前で発表・演奏したら、ド緊張で指は震えるし汗はドドッと出るしで、さんざんでした。
そして、この失敗経験でさらに「もう人前で発表したくない症候群」になってしまうのです。ひどい人になると「もう二度と絶対人前ではやらない」という場合もあります。
さて、こうした人前で発表したくない人の言い訳には大きく次の3パターンあります。
①皆にバカにされる
②失敗して恥をかきたくない
③完璧に練習できていない
シニアに限らず、多くの人はこういった傾向にあります。それぞれを見てみましょう。
①皆にバカにされる
初心者で上手く演奏できない、他のうまい生徒さんと比べられる、同時期に習い始めた人に比べたら遅れている、シニアにもなっていい年をして、など人前で演奏したら皆にバカにされるという理由が一番多いです。
つまり他人と比較されることがイヤなわけです。もし実際に誰かにバカにされたら自己肯定感も下がりますし、自分の居場所もなくなる可能性もありますから躊躇する気持ちもよくわかります。
②失敗して恥をかきたくない
面と向かってバカにはされないかもしれないけど、失敗したら恥ずかしい、そんな状況には耐えられないというパターンです。これは①の他人と比較してではなく、自分自身のプライドや、心の感じ方によるものです。
自己肯定感が下がることへの拒否感がこうした行動につながります。
③完璧にできない
演奏を間違う、途中で止まる、つかえる、途切れる、繰り返す、下手くそだ、など完璧にできないから人前でやりたくないというパターンです。他人からみたら結構上手にできている場合でも、勝手に本人が「完璧でない」と思い込んでいることも多いです。プロでも、いやプロだからこそこの「完璧にできない」感覚はあるようです。
特に繊細な人はこの「なぜか完璧にしてしまう」傾向があるため、なかなか前へ進めません。
人前発表のマインドセット
このような理由から、発表会やライブ演奏会などに参加したくない人も多いのですが、これらは少し考え方を変えるだけであまり気になりません。もちろん緊張はしますが、結果が気にならないようになる考え方があります。ひとつずつ見てみましょう。
①皆にバカにされる、と思ったら・・
教室の発表会やライブ演奏会になると観客はそのほとんどが同じ教室の生徒さんまたは、その家族や友人です。言わばみな仲間です。そして特に生徒さんはみな同じ立場です。同じ環境で同じ心理状態なので、発表する他の生徒さんの気持ちは一番よくわかっています。
自分がバカにされるとイヤなことは全員わかっているので、実際にバカにする人はいないと言っていいでしょう。むしろ私の経験上、みんな心優しく温かい目で見守ってくれ応援してくれます。上手くできない人ほど応援してくれるのが現実です。シニアになればなるほど他人の気持ちを理解でき共感できることは、多くの人はよくわかっていると思います。
実際には、こうした発表会や発表ライブで観客が一番感動するのは、上手に演奏することではなく、上手くなくてもまた中断しても最後まであきらめず一生懸命やるその姿です。演奏内容ではなく「頑張るその姿勢」が他人の心を動かし、他の生徒さんのやる気にもつながるのです。
私も人前で演奏する時、自分に言い聞かせることの一つ目は、
⇒演奏そのものよりも、頑張る姿を見てもらう
です。これだとそもそもバカにされる対象にはならないからです。
②失敗して恥をかきたくない、と思ったら・・
シニアから趣味で通い始めた音楽教室の発表会やライブ演奏会は、コンクールとか○○大会のような何か順位を競うものではありません。あくまでも普段の成果を見てもらうものです。他人と比較してとか、テクニックのうまい下手とかではなく、成長度を見てもらうものです。
前回は出来ていなかったことがちょっとでもできていれば大成功です。上手かろうが下手だろうがそれ自体は恥になる対象ではありません。ただし、誰でも緊張しますから恥ずかしいと思う気持ちはみんなあるかもしれません。それは実際には「恥をかく」ではなく、単に「恥ずかしい」だけです。
私自身は人前で演奏する前、こう言い聞かせてから始めます
です。そもそも初めから恥をかくための練習なのですから、ちっとも恥ずかしくないのです。
③完璧にできない、と思ったら・・
超一流のプロでない限り人前で完璧に演奏できる人などいません。現実には超一流のプロでさえ(プロだからこそ)、完璧にできたと思える人はいないでしょう。私たちのように、趣味で楽器を楽しんでいるシニアにとってはなおさらです。現実には、完璧にできる人はいないと言っていいでしょう。
他人から見たら「完璧やん!」と思ってもらえても、本人は「いや~全然だめ、間違いだらけやった」というのがほとんどです。完璧という言葉には絶対的な指標がないからですね。自分で完璧だと思えばそれで完璧です!
私も人前で演奏する時の目標はこんな感じです。
⇒目標は「完璧に演奏する」ではなく「最後まで演奏する」に定める
です。目標を「完璧に演奏する」に設定するのは普段の練習にして、人前発表での目標は「最後まで演奏する」にすると割と気楽に取り組めます。よく言われている、練習は発表のように、発表は練習の様に、というやつです。
以上3つのマインドセットができれば、人前発表はもっと楽しく気楽にできるようになります。
人前で発表する7つのメリット
さて、実際に人前で発表するようになると次のようなメリットがあります。シニアにとってこうしたメリットを理解しておくと取り組みやすいです。
①目の前の目標ができる
②それなりに練習する
③仲間との連帯感が生まれる
④刺激を受ける
⑤新しい目標ができる
⑥他人の気持ちが理解でき応援できる(される)
⑦緊張しない方法を編み出す
それぞれ簡単に見てみましょう。
①目の前の目標ができる
もし発表会やライブ演奏会あるいはボランティア活動など、人前で楽器を演奏する機会が近い将来なかったら、たぶんそれほどモチベーションが上がらないでしょう。人前で演奏するという目の前の目標があってこそやる気も出てくるものです。私は発表会がないと普段はあまりやる気が出ません。
②それなりに練習する
発表会やライブ演奏会が近づくとちょっと焦ってきます。さすがに練習せんとあかんわ、と思い始め、いよいよ本腰入れ始めます。そうです、発表会の良いところは、この半強制モードに入れるところです。それなりに練習させてもらえる絶好のチャンスを与えてもらえるのです。
③仲間との連帯感が生まれる
教室の他の生徒さんの多くもこうした発表会やライブ演奏会に参加します。みんなが頑張っている姿を目の当たりにします。また、合奏やバンドで演奏するとなるとなおさらです。同じ目的に向かう同志として心情も理解できますし、ここで一気に連帯感が生まれます。
④刺激を受ける
なんといっても他の生徒さんが一生懸命頑張っている姿を見ると、めちゃめちゃ刺激を受けます。少なくとも「よ~し自分も頑張るぞ~!」という気にはさせてもらえるのが、発表会やライブ演奏会に参加する大きなメリットです。
⑤新しい目標ができる
他の生徒さんが発表している曲を聞いたり、弾き語りの歌声を聞いたりして、「私もこの曲やってみたい」と思うことが良くあります。実際にレベル的にできるかどうかは別として、ここで自分の新しい目標ができるのも一つのメリットです。
⑥他人の気持ちが理解でき応援できる
実際に発表会やライブ演奏会のステージに立つと、発表者の気持ちがよく理解できるようになります。これは観客の立場だけでいると絶対にわかりません。
練習期間中の地道な努力を重ねる気持ち、本番前に出番を待っている緊張感、ステージに立った時の独特の空気感、練習の成果が半分も発揮できない挫折感、やり遂げたときの達成感、などは経験して初めて理解できるようになるからです。
⑦緊張しない方法を編み出す
初めてステージに立つと味わったことのない緊張感に普通の人は襲われます。指は震えるし、汗はかくし、頭は真白になるしなどです。あれ?こんなはずじゃなかったのに・・、って感覚です。こうしたことを繰り返すうち、自分なりに「緊張しない方法」を考えるようになります。こうして自分の経験から編み出した方法は他の場面(ビジネスとか生活、人生全般)で応用出来ることも大きなメリットです。
まとめ
今回は「シニアが人前で発表する時のマインドセットと7つのメリット」についてお話ししました。ただ、人前でのパフォーマンスはそんなに無理をすることはありません。どうしてもイヤなら発表会は参加しなくても全然OKです。学校のテストみたいに誰かから評価される類のモノではないからです。
コミュニケーションが苦手な人は、自宅で一人こっそり楽しむのももちろんありです。大切なことは自分の目的を再確認することです。何のために?誰のために?ですね。ただ、新しい世界を発見して人生をちょっと変えたい人は、ぜひ人前でチャレンジすることをお勧めします。
次回は、「シニアが楽器で社会とつながり居場所を確保する方法」についてお話しします。
①なぜ人前で演奏したくないかの理由を知る
②人前で発表する7つのメリットを知る
③人前発表のマインドセット方法がわかる